アスリートが語る、データを活用したダイエットとは

3月 15, 2018

昨今、ウェアラブルデバイスやその他のヘルスケアデバイスを使って、健康管理をしている方も多くなってきました。
これらのデバイスを使うと、健康にまつわるさまざまなデータを取得することができますが、みなさんはこれらのデータをどう活用していますか?

たとえば、Nokiaの体重計「Nokia Body+」では、体重だけでなく、体脂肪量、筋肉量、体内水分率、骨量、BMIを計測し、スマートフォンアプリでこれらの記録の推移を確認することができます。
体重の推移は気にする方が多いと思いますが、体重以外のデータはどう活かせばいいのでしょうか。

スマートウォッチ「Nokia Steel HR」は、腕につけているだけで、運動時の心拍や、消費カロリー、歩数、移動距離、アクティビティ(ウォーキングやランニング、睡眠など)の自動認識を行います。
私自身、Nokia Steel HRを毎日使っているものの、アプリで1日の運動量や睡眠時間を見て満足していましたが、せっかく運動時の心拍が取得できるなら、こういったデータも活用したいものです。

健康管理にデータをもっと活用したい!ということで、運動のプロフェッショナルにその活用方法を中心にインタビューをしてきました。
今回お邪魔したのは、キックボクシングや格闘技エクササイズを専門とするフィットネススタジオ「ファイトフィット池袋東口」。ボクシングのスタジオとは思えない、ビビットで可愛らしいピンクの内装となっています。

出迎えてくださったのは、トイカツ道場代表の戸井田カツヤさんと、黒帯ホルダーであり、形成外科と救急医療を担当する医師でもある上田百蔵さんです。

戸井田カツヤさんは、元々総合格闘技のプロ選手をされていましたが、現在は21店舗もの格闘技ジムを経営する経営者です。今回取材に伺った「ファイトフィット池袋東口」も戸井田さんが経営するジムのひとつ。
上田百蔵さんは、戸井田さんの経営されたジムで格闘技を教えていた経験を持ち、現在は形成外科と救急医療を担当する現役ドクターです。
 

ーー 普段はどんなトレーニングをされていますか?

戸井田さん「普段のトレーニングでは、スパーリングをメインに行っています。スパーリングは実戦形式で行う練習のことです。5分間の試合の間に、関節技でギブアップをとった回数を競います。これを週2〜3回やってます。」
上田さん「僕も基本的なトレーニングはスパーリングがメインです。柔術のスパーリングは、短時間で効率よく全身に筋肉をつけられるので、時間効率を重視している方に柔術はおすすめです。」

ーー ダイエットをしている方におすすめのトレーニングはありますか?

上田さん「ウォーキングや自宅でやるフィットネス等の、自分で運動量をコントロールできてしまう運動は効果が出にくいと考えています。ダイエットを考えるならまずは食事制限、エネルギーを消費させてダイエットするなら、対人トレーニングが効果的です。例えば、ミット打ちトレーニングは3分3ラウンドの合計9分の運動でかなりの効果が出ると思います。どうしてもそういった時間が取れない方は、ひとりトレーニングしている際に、タイムや重量といった制限を設けると追い込めると思います。」
戸井田さん「あとは、体重や体脂肪の遷移を記録することで、トレーニングの成果を見える化して、モチベーションを維持することも大切なことです。」

ーー 体重計から取得できるさまざまなデータの読み方を教えて頂けますか。

戸井田さん「体脂肪量は、落としすぎると健康に影響しますが、基本的には落とせる体重です。年齢にもよりますが、女性の場合、20%〜24%くらいが理想だと思います。男性の場合は、10%台だとかなり引き締まったカラダだと言えそうです。」

池澤「体内水分率というパラメーターに関してはいかがですか。」
上田さん「水分は健康には適度な量を摂取して下さいとしか言えません(苦笑)。
例えば、運動や飲酒した後にサウナを利用する方がいますが、非常に危険です。急速な脱水症状は、血液の濃度を高め脳梗塞や心筋梗塞の誘因になります。実は、サウナから緊急搬送される方は非常に多いです。だからといって、過度の水分摂取は、ナトリウムやカリウムなどの体内の電解質を薄め、長期に渡ると健康に重大な影響を及ぼします。また、心臓の悪い方には、血管内の水分量が増え、相当な心臓の負担になってしまいます。こういったアプリで、普段の体内水分率を把握しておくことが、適度な水分摂取量の目安になるかもしれません。」
戸井田さん「長風呂した後に、体内水分率が減り過ぎたことが分かったら、水分をとるようにしたらいいかもしれませんね。」

上田さん「骨密度は、骨粗鬆症のリスクが高まる高齢の方や産後の女性は、注意してみておいたほうがいいですね。簡単にアプリでチェック出来るのは非常にいいことですね!」

ーー ウェアラブル端末は心拍を記録できるものが多いと思いますが、心拍データはどう活用すればいいのでしょうか。

戸井田さん「一般的に、120〜130bpmぐらいの心拍数を維持して運動すると痩せやすいと言われています。なので、ランニングマシンにはときどき心拍測定できるものがありますよね。あれはそのためについているんです。」
上田さん「医療分野においても心拍数は重要なバイタルサインです。特に高齢者の方には、日常的に心拍数を記録し、高すぎたり低すぎたりしないか、定期的にご家族の方がチェックして頂けると良いですね。」

ーー 最後に一言お願いします!

戸井田さん「何かを達成する際には、何事もそうですが、習慣を作ることが大切です。こうしたデータを蓄積して、さらに手軽に確認出来る環境があるということは、運動するモチベーションの維持にも役立つと思います。」
上田さん「肥満は万病の元です。糖尿病や高血圧の原因になる上に、高体重によって関節に負担がかかり、変形性膝関節症になる恐れもあります。普段から日常に運動をとりいれる習慣をつけて、これらを予防したいですね。体重管理に加え、こういった細かい値を毎日手軽にチェックできれば、自己管理に繋がると思います。」
今回のインタビューでは、私自身が普段活用しきれていなかったデータの使い方についてうかがいました。
これらのデータをうまく活用することで、例えば、体重を減らすのではなく、体脂肪を減らす健康的なダイエットをすることができますし、心拍数を意識することで、効率的に日常に運動をとりいれることもできます。
みなさんも、体重などの一般的な指標だけでなく、いろいろなデータを健康に活用してみてはいかがでしょうか。

インタビュイープロフィール

戸井田克也
トイカツ道場代表
長野県長野市出身、1977年1月6日生まれ。元プロ格闘家(戦績34戦16勝16敗1分1ノーコンテスト)。総合格闘技「修斗」世界ライト級1位、環太平洋ライト級1位。
中野、新宿、渋谷、池袋、吉祥寺、秋葉原、高田馬場、田町、五反田、西日暮里、横浜、長野県(松本市、箕輪町)埼玉県新座市、香川県高松市、宮城県仙台市、タイバンコクに計21店舗の格闘技道場を展開中!

上田百蔵
兵庫県神戸市出身、1980年09月15日生まれ。
医師(形成外科、救急医療)であり、中国拳法とブラジリアン柔術黒帯、ムエタイなどを行う格闘家でもある。頂柔術所属。