データ調査より:2020年は大混乱だったのでしょうか?健康に関する情報。

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1月 22, 2021

「1年を振り返る」という言葉を聞いたら、あなたはため息をつきながら、最近の記憶の中にある、人類の健康に与えられた最も破滅的なときから逃れたくなるかもしれません。しかし、当社が5月に実施した新型コロナウイルス感染症に関するデータ調査で明らかになったように、パンデミックの間にすべてが失われたわけではありません。睡眠時間の増加や睡眠時の心拍数の低下が見られ、急激な体重増加はないといった傾向が見られたのです。

「1年を振り返る」という言葉を聞いたら、あなたはため息をつきながら、最近の記憶の中にある、人類の健康に与えられた最も破滅的なときから逃れたくなるかもしれません。しかし、当社が5月に実施した新型コロナウイルス感染症に関するデータ調査で明らかになったように、パンデミックの間にすべてが失われたわけではありません。睡眠時間の増加や睡眠時の心拍数の低下が見られ、急激な体重増加はないといった傾向が見られたのです。
しかし、新型コロナウィルス感染症が世界全体に移動、拡大、流布していくにつれて、これらの傾向は長期に渡ってどのように保たれ、どのように変化したのでしょうか?確かに、もうすぐ年末が訪れるとは感じられません。しかし、2020年の大混乱を物語る年末年始の飾りものが広く販売されていることから、これは明らかです。2020年は損失で終わるのでしょうか?驚きを与えうる結果については、続きをお読みください。

2020年:人々は睡眠で乗り越えようとした

1年間に睡眠時間が一切減少しなかっただけでなく、実際には、睡眠時間は増加。2020年の平均睡眠時間は、2019年よりも1晩あたり8分34秒長くなり、最も睡眠時間が増加した英国では、前年よりも1晩あたり平均11分40秒長くなったのです。

睡眠時間の差
睡眠時間の差

なぜ睡眠時間が増加したのでしょうか?英国などの地域ではナイトライフの活動が激減し、米国ではレストランの利用者数が大幅に減少(2400億米ドルの損失)、さらに世界中で夜間外出禁止令が出されたことが、おそらく睡眠時間の増加につながったと考えられます。もう一つの要因は在宅勤務の推進です。これにより、多くのオフィスワーカーが通勤を減らすことができ、潜在的に多く睡眠時間を取ることができたのです。
しかし例外もあります。11月3日、選挙の夜です。アメリカ大統領選挙の正式な結果は7日まで発表されませんでしたが、選挙の夜は、米国や他の国々で人々の睡眠時間が短くなったことが証明されました。米国では通常の7時間18分と比較して6時間53分となり、ほぼ25分、睡眠時間が短かったのです。
睡眠時間が長くなったほか、各国で睡眠の質も向上しているようです。以下に示すように、2020年は睡眠スコアの「高」が増加し、2019年と比較して全体に「中」と「低」のスコアを減少させる効果がありました。

潜在的なスコアが75+以上は高、50~75 は中、49以下は低になります。睡眠スコアは、以下の4つの要素を用いて計算します。

  • 時間(睡眠時間の合計)
  • 規則性(就寝時間と起床時間の一貫性)
  • 深度(回復のフェーズと深い睡眠状態)
  • 中断(目覚めている状態の時間)

 
より長い睡眠時間のほかに、睡眠スコアが高くなった要因は何でしょうか?都市周辺のナイトライフによる騒音が減ったことも一つの要因となった可能性があります。しかし、通常の平日の就寝時間と比較して、夜遅くまで人との交流やパーティーに費やす時間が短くなったことから、こういった社交による時差ぼけが少なくなったことも、もう一つの原因である可能性があります。ホームパーティーは行わず、通常、同じデジタル画面以外に集まるスペースもありません。つまり、1週間を通じてより定期的な睡眠スケジュールを維持することができたのです。
睡眠時間が長くなったことと睡眠スコアが高くなったことはプラスですが、世界の他の出来事は健康にどのような影響を与えたのでしょうか?私たちは睡眠時の心拍数を調べました。睡眠時の心拍数の低下は健康状態が良好なサインです。これは、心臓が血液を送り出すために懸命に働く必要がないからです。このデータから分かることは何でしょうか?繰り返しますが、2020年と2019年の間にまた別のプラスの差が見られています。睡眠時の心拍数は昨年と比較して1分間で平均0.54拍(bpm)低くなったのです。ただし、すべての国の人が同じ低下を経験しているわけではありません。カナダでは、2.56 bpmも低下して大成功をおさめました。増加したのは英国とスイスの2カ国のみで、それぞれ0.15 bpm、0.58 bpmの増加が見られました。

外出自粛要請や、ナイトライフとアルコール消費量の減少、通勤によるストレスの削減など、上述の多数の要因が、心拍数に影響を与えたと当社は推測しています。

人々は速度を落とした

隔離は、私たちの歩く習慣に大きな影響を及ぼしました。2019年と比べて、2020年の世界の人々の1日の平均歩数は10%マイナス、歩数にして511歩減少しました。世界中の多くの国で義務付けられている外出自粛命令だけでなく、歩数の減少は、通勤時間が削減されたことと、通勤以外でも職場で歩くことが減ったことが原因となった可能性があります。米国では、職場で働いている従業員のほぼ2倍の人数が在宅勤務をしているため、電車の駅やバス停まで歩いたり、路線の乗り換えをしたり、一日の終わりにこれをまた繰り返すことがなくなったことが、世界規模で歩数が少なくなった理由の1つとなった可能性があります。
しかし、近隣諸国と比べると多くの制限措置を講じていないことで現在世界的に知られているスウェーデンは、活動の減少が最小だった国の1つでした。2019年よりも平均して1日あたりわずか87歩の減少でした。
一般的に歩数は活動の尺度の1つですが、ワークアウトなどの運動はどのような影響を受けたでしょうか?

スポーツジムが休業していたり、利用客を制限して営業したりしているため、多くの人にとって屋内での運動は困難となりました。また、一部の国では不要な外出は禁止されていました。ランニングは世界で平均1.75%減少し、水泳はほぼ30%激減しました。しかし、他よりも影響が少ない運動もありました。自転車に乗ることは、世界で8%上昇しました。これは、多くの国が主要都市全体で自転車レーンの数を増やしたことが起因する可能性があります。他の乗客と電車の空間を共有するよりも、常に風通しのよい自転車での通勤や街乗りの方が安全に感じられるからです。

体重に関する驚くべき事実…

増加した活動もあれば、減少した活動もあります。しかしこれらの要因と睡眠、隔離、その他のすべての事柄は、体重にどのように影響を与えたのでしょうか?2020年は、私たちが測っているキロやポンドにとって本当に悲惨なものだったのでしょうか?
数値を調べると、2020年の世界の平均体重は、2019年と比較して0.14kg減少したことが示されています。他にも朗報は続き、2020年は2019年と比較して、世界の平均脂肪量は0.15kg減少しています。これらの数値は、多くの人が感じているであろう多大なストレス、絶望感、冷蔵庫との距離が近づいたことを踏まえると、直感に反しているように思えるかもしれません。しかし、ここまで述べた要因の多くを考えると、体重が増加しないという全般的な傾向は筋が通っています。上述したように睡眠時間が多くなり、社交による時差ぼけが減ったことは、より大きな減量につながる可能性があります。多くのレストランやカフェは来客数が減って苦しんでいますが、より多くの人が自宅で食事をしているため、より健康的な食べ物を選ぶことができカロリー、塩分、飽和脂肪が少なくなったのです。
全般的に体重は増加傾向にはありませんが、このパンデミックの年は、皆に感情的にも精神的にも負担をかけています。これは、体重を減らそうという個人の目標にどのような変化をもたらしたでしょうか?私たちはあらゆる希望を放棄し、ただNetflix(ネットフリックス)を観て飲み食いしていたのでしょうか? それともこの人類という共同体への挑戦は、私たちを個人的な行動に導いたのでしょうか?
2020年に、少なくとも1キロ (2.2ポンド) の減量を希望していたユーザーの46 %は辛うじて減量し、さらに野心的で、5キロ(11ポンド)以上の減量を希望していたユーザーの18 %は減量しました。2019年の数値はそれぞれ41%と16%であり、2020年は、2019年よりも減量の目標にとって優れた年であったことを示しています。

体温のチェックは急上昇?

2020年には、活動、睡眠、体重が世界中で影響を受けましたが、このパンデミックは体温測定にも影響をもたらしたのでしょうか?インフルエンザの症状に似た高熱が出ることは、新型コロナウイルス感染症(COVID -19)に罹患している可能性のある指標の一つです。では、2020年の世界のコミュニティは、2019年よりも体温を測ったのでしょうか?
以下のグラフには、2019年の通常の体温測定の割合を示すU字のパターンが表示されています。一般的にインフルエンザの季節である秋冬に対し、夏季は測定が少なくなります。しかし、欧米に新型コロナウイルス感染症(COVID -19)の最初のピークが訪れた2020年3月には、体温測定値が急激に上昇しています。

2019年にもう1つのU字パターンが夏に向かって登場しますが、段階的な一貫性に欠けています。新型コロナウイルス感染症(COVID -19)の世界で、体温測定が最も少なかった5月でさえも、2019年の最大数に向かうどの時期にも当てはまらず、2020年9月と2020年以降、体温測定の値は3月の水準に近いままとなっています。
新型コロナウイルスに感染した人の中には、無症状である場合がありますが、多くの企業、職場、学校では、建物に入るべきかどうかを評価するための尺度として体温測定を用いることが増えています。新型コロナウイルス感染症(COVID -19)の潜在的な症状を検出するために、個人が自宅で体温を測定することも増加しており、パンデミック後の世界であっても、体温測定は組織レベルでより一般的な潜在的症状の検出手法となる可能性があります。

まとめ

2020年は大混乱だったのでしょうか?多くの点ではそうでした。しかし、新型コロナウイルス(COVID -19)に直接感染した人々の向こう側に見た健康に関しては、この年は「ゆっくり燃える残り火」であったことをデータが示しています。つまり、熱はありますが、あちこちのゴミから煙が上がるのを制御できないわけではありません。実際、睡眠と体重に関しては、特にプラスの傾向があります。これは、自宅でより多く(そしてより健康的に)食べること、通勤が減ったことでより多く睡眠時間が取れること、そしてかつての深夜に外出していた時と比較して社交による時差ぼけが少なくなったことに起因します。しかし、全般的な活動は減少し、一部の運動は下げ止まりしています。また、これまでになく体温測定が増加しています。
間違いなく2020年は、社会的孤立、失業、新型コロナウイルス感染症による死亡など、さまざまな理由から、悲惨な状況にあったように感じられ、これらすべてが私たちに恐怖と怒り、不確実性、悲しみを覚えさせます。1年に渡り、特定の国々においては人々の間に巨大な格差があることを明らかにし、他の国々では公衆衛生に関する集団的な知識が不足していることを明らかにしたこのデータからは、明るい状況を見積もることはできません。しかし、狂乱と失望を通して、私たちは数百万人もの人々から、自分たちは思っているほど悪いことをしていないという確固たる健康データが得られていることを知ることで、安らぎを得ることができます。実際、データに基づいて行動すれば、より良い睡眠、より健康的な食事、そして体重管理の向上に向けた行動を形作る方針を策定することにより、人類の健康を改善できる可能性があります。

調査方法

本調査は、Withingsが実施したもので、世界中のWithingsスマートスケール、ハイブリッドスマートウォッチ、およびThermo(スマート体温計)の500万人のユーザーから匿名で得た集計データに基づいています。Withingsでは、弊社製品をご利用いただいているユーザーの皆様のプライバシーを尊重して、個人データの機密を保持しています。これに伴い、本調査で使用されたデータは、いかなる再識別も回避するために、すべて厳密に匿名で集約されています。