なぜ睡眠の改善が重要?

睡眠
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2月 4, 2021

人々が健康的なライフスタイルの選択を考えるとき、運動と栄養がまず頭に浮かびます。しかしもう一つ、健康全体にとって必要不可欠なものがあることを研究が示しています。それは、「生活の静かな部分」です。どれくらい、そしてどれだけ良く眠るか。

十分に目を閉じなかったり、夜の睡眠が疎かになったりすると健康に深刻な悪影響を及ぼすことがあります。短期間の睡眠不足でも取り返しのつかない事故を招くこともあります。例えば、眠気を催している人が運転や重機の操作を行う場合などです。長期に渡って睡眠が不足している場合は、高血圧や肥満などの持病または鬱をはじめとした気分障害のリスクを上げることに繋がります。
アメリカの国立睡眠財団が主催する睡眠意識週間を記念して、私たちは、ヨーロッパ睡眠学会の副会長であり、フランスのリヨン大学の睡眠研究者であるピエール・ヘルヴ・ルピ博士と話し、Zをいくつか捕らえることの重要性について教えていただきました。睡眠の必要量、なぜ睡眠の改善が重要なのか、そして快眠を導くためのポイントをお読みください。

睡眠が問題になるのはなぜ?

「睡眠はいまだに、少し削っても大して問題はないものだととらえられています。“生きていける”と」とルピ博士は述べています。「おかしなことですが、よく眠ることが重要であること、そして1日に1〜2時間の睡眠時間を削るべきではないことを示すのはとても難しいのです」。
電気の発明以来、仕事、遊び、読書は就寝前のほんの少しの時間を延長させます。現在では、私たちは寝る前に電子機器をよく触ってしまいます。これらから発せられるブルーライトは、夜中なのに私たちの脳を朝か正午だと錯覚させてしまいます。私たちの1日24時間、1週間7日の世界、仕事のストレス、長時間の通勤、すべてが睡眠障害のリスクを高めます。
睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群、がんなどの他の病気にかかっている人も、よく快眠が得られないことがあります。

どのくらいの睡眠が必要?

2013年のGallupの世論調査では、アメリカの成人の40%の睡眠時間が1日7時間未満であることが分かりました。
国立睡眠財団によると、それは十分ではありません。彼らによると、大人の睡眠時間の目安は、毎晩7 ~ 9時間です。就学年齢の子どもたちには、9~11時間の睡眠時間が理想的です。10代の子供は、8~10時間の睡眠後に最も脳が機能します。高齢者には約7~8時間の目を閉じる行為が必要です。
2015年、Gallupはまた、「より多くの睡眠を取ることでより高い幸福度に繋がる」と題された世論調査を公表しました。これは… まあ、それが何を示したかは推測できるでしょう。

なぜ寝る必要があるの?

ルピ博士は「睡眠の影響は脳にしかないと思っていました。この分野では、“脳によって、脳のために”とよく言いますが、今は体全体に影響を与えていることが分かりました。あらゆるレベルで影響が見られます」と述べています。ルピ博士によると、睡眠不足の人の個々の血球レベルにさえ違いがあることが研究で判明されているそうです。
 
一晩の睡眠不足は精神的および肉体的の注意機能の一時的な低下を引き起こす可能性がありますが、数日間にわたって1~2時間の睡眠を失うと、深刻なダメージを与える可能性があります。以下は睡眠不足によって引き起こされる懸念事項です。
 

  • 睡眠不足の人は肥満になる可能性が高くなります。この問題の一部は、起きている時間が長いため食べる機会が多いことにあります。一晩の睡眠時間が7時間以下の場合、食欲を抑えるメカニズムがうまく機能しないことも研究で判明しました。
  • 研究者は、睡眠不足の人の心臓病、血圧の上昇、炎症との関連性を多く発見しています。
  • 深刻な睡眠不足(一日5時間以下の睡眠)の人は、2型糖尿病を発症するリスクがとても高くなります。
  • 鬱病、不安、その他の気分障害は慢性睡眠障害と関連しています。
  • 睡眠不足は性欲の低下につながることもあります。
  • 大人も子供も新しいことを学ぶための能力には適切な睡眠が関係しています。

 
徹底的に証明されていませんが、研究によると快眠が人の意思決定プロセスと創造力、そして新しい洞察を得る能力を向上させることは明らかだとルピ博士は言っています。

快眠を導くポイント

幸いなことに、自分の睡眠パターンを理解した上でいくつかのルーティンを変えれば、ほとんどの人の睡眠が改善されます。
 
日々の運動
「スポーツは睡眠に良い。運動をすればするほど、眠りやすくなり、深い眠りにつけます」とルピ博士は言います。活発に運動をするのがベストですが、軽いトレーニングでも効果はあります。また就寝直前の運動は避けるようにしてください。
 
睡眠スケジュールを守るようにして、リラックスできる就寝ルーティンを作る
毎日同じ時間に眠りにつき、目を覚ますことで、体内時計を調整します。そして大変言いにくいのですが、週末に寝ることはおすすめしません。快適でリラックスした睡眠ルーティンを守ることで、自然と夜に体が休みを求めます。また、電子書籍ではなく紙の本を読み、お風呂に入りましょう。マインドフルネス瞑想を行い、日記に書きましょう。犬を連れて近所をゆっくり散策しましょう。家族や友人と時間を過ごし、できればテレビを見ないでください。
 
あなたのベッドルームを睡眠のサンクチュアリに
部屋は、あなたを眠りに導くような空間であるべきです。部屋を暗くするカーテンを検討し、デジタル機器のブルーライトやナイトライトが自分の視野に入らないことを確認してください。パートナーがいびきをかく場合は、睡眠が損なわれている可能があるので睡眠時無呼吸の検査の受診を勧めてください。
 
カフェイン、アルコール、昼寝を避ける
特に深夜は避けてください。もし仮眠が必要であれば、20分以内にとどめてください。
 
最後に、上記のいずれについてもストレスを感じないようにしましょう
一度にすべてのポイントを無理に取り入れようとしないでください。睡眠を妨げる元と睡眠を誘う手助けをする元は一人一人にとって異なります。重要なのは、どの活動と習慣が睡眠に最もプラスとマイナスの影響を及ぼすかを見極めることです。これらを意識することで睡眠の質と時間がすぐに改善されることが確認できます。
 
ルピ博士は、睡眠トラッカーの使用が増えていることは人々が気付いていなかった睡眠の問題に意識させる良い方法だと述べています。「もし睡眠時無呼吸症候群で睡眠時間を記録して、その結果を前に“なんてことだ”と気付くことができれば、これは命を救うことができます」とも言っています。
 
博士に睡眠に関して何が最も重要なのかを尋ねたところ、この問題は個人を超えて地球の状態にまで及ぶものだと答えました。新しいアイデアを生み出しグローバルな問題を解決するには、人々は休息し、身体に気を遣い、自然の体内時計を尊重する必要があります。

「あなたは自分に耳を傾けるべきです。私たちは自分自身に耳を傾ける必要があるのです。自分自身を大事にしない人が多い… これは問題です。人々は“8時間の休息が必要だ”と考える必要があり、睡眠に意味がないという考えや睡眠時間を別のことに使った方がいいという考えを改めなければなりません。私なら、“わかった、落ち着いて、落ち着いて。あなたの人生とあなたの睡眠のために時間をとってください”と言います。次は私が送りたいメッセージです。自然は大切です。睡眠は自然の一部です。そのことを尊重してください」。