週末に寝溜めすると、1週間分の睡眠不足を帳消しにすることができるのでしょうか?
「寝不足なら、朝ゴロゴロすれば疲れが取れますよ」。こういった事は誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。週末の寝溜めは、平日仕事のため寝不足になりがちな人のための一般的なアドバイスです。でも、いったいどれだけ効果があるのでしょうか?最近の研究では、以前信じられていた説とは異なり、週末に長く眠ることは睡眠不足の解消に繋がらない事を示唆しています。寝溜めの有効性の真偽について正しい知識を身につけ、睡眠スケジュールを最適化する方法について考えていきましょう。
睡眠不足を「帳消し」にすることができるという研究結果はあるのでしょうか?
最近までは、週末に長く寝ることで平日の睡眠不足を帳消しにできるという考えが広く支持されていました。たとえば、Journal of Sleep Researchに掲載された、1997年にスウェーデンで得られたデータに基づいた研究では、平日に少ししか睡眠をとらず、週末に長く寝る習慣を持っていた人々のグループは、毎日一貫して6 ~ 7時間睡眠をとっていた別のグループと 死亡リスクは同程度である ことが分かりました。これは、週末の寝溜めが睡眠不足を解消するための効果的な方法である可能性を示しています。
では、最新の研究ではなぜこの見方が変わってきたのでしょうか? 生物学の分野での最新の研究 は、これらの主張に異議を唱えています。死亡率だけに目を向けるのではなく、健康への影響を考慮することもとても重要だと主張しているのです。この研究では、参加者は2つのグループに分けられ、片方のグループは試験中に睡眠時間が制限される一方、もう一方のグループは週末により長く寝ることが許可されました。しかし、2つのグループの結果は事実上同じでした。どちらのグループも体重が増え、夜間の間食の回数が増え、そして代謝が低下するという兆候を示しました。
「寝溜め」グループについては、試験開始時は週末に長く寝ることができることからの良い効果がいくつか確認できましたが、それらは短期間で消え去ってしまい、2週間目の半ばまでには、一貫した睡眠時間を取った場合と同程度の新陳代謝の悪化が見られました。場合によっては、寝溜めグループはもう一方のグループよりも、インスリン感受性の著しい低下などの、さらなる健康悪化が確認できました。要は、寝過ごしと睡眠不足を繰り返すと長期的に見て身体に深刻な悪影響を与える可能性があり、睡眠不足を補うのにはおそらく役立たないであろうということです。
「ソーシャルジェットラグ」はこれらの事実とどの様な関係があるのでしょうか。
ソーシャルジェットラグは次の様に引き起こされます。金曜日と土曜日に夜更かしをする人は多くいますが、それらの人々は翌朝遅くまで眠れるという事実から、夜更かしを正当化しようとします。しかし、このような行動は体内時計に非常に悪影響を及ぼす可能性があるのです。 主な悪影響 を挙げると、イライラ、慢性疲労、質の悪い睡眠、心臓病のリスクの増加などがあります。
ソーシャルジェットラグは、主な副作用が時差ぼけのようなものであるだけでなく、通常パーティーや夜間の人付き合いの結果起こるため、このような名前が与えられているのです!考えてみてください。私たちは実質的には 2つの異なる時間帯 で生活しています。一つは仕事が占める時間帯、もう一つは社会的義務が占める時間帯です。私たちの体が異なる時間帯に適応するにはしばらく時間がかかります。そのため睡眠のタイミングを絶えず変え続けると、体内循環器のリズムに多大な悪影響を与えます。
ソーシャルジェットラグの解決策はとても簡単なものだと多くの人が言います。つまるところ、週末に寝なければいいのです。単に、自分の身体にもっと耳を傾けて、自然に目覚める時間はいつなのか聞いてみれば良いのです。一週間を通して睡眠時間を増やすことは、単に週末の余分な睡眠を削減することよりもはるかにインパクトがありますね。
結論
最新の研究結果を見てみると、週末の過睡眠は寝不足解消にほとんど役に立たないようです。この説が正しい場合、寝不足解消のために残された解決策は一つだけです。1週間を通じて規則的な睡眠パターンを維持し、毎晩通常よりも多く睡眠をとるようにすれば良いのです。たまにでしたら週末もう少し寝てみても問題はないでしょうが、それを習慣とするのは望ましくないでしょう。